ウォークマンを聴くシットマン

Walkman for Sitman.
夜の東横線でつり革を握ってボーッと立っていたら、視界の隅で黒いものがササッと動いた。
見ると、イヤホンのコード。
網棚の上に置かれたカバンの隙間から、イヤホンのケーブルが下に向かってぶらさがっている。
そしてその先は、下に座っている40代ぐらいのスーツのおっさんの耳の中に。
電車の揺れに合わせて、ぶらぶらぶらぶらと激しく揺れるケーブル。
ケーブル途中のリモコン部も揺れに合わせてゆらゆらと回転。
離れて見ている僕が気になるぐらいだから、両隣に座っている人にはものすごく目障りなはずだ。
カバンを、自分の膝や足元に置いたほうが楽だと思うのだが。
このおっさんが、どういう順序でこの態勢を作り出したのか、その瞬間を見たかった。
全部ウソです。そんなおっさん、実際にいるわけがありません。